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    プールサイド




    「プールサイド」

    新田さんと出会ったのは23,4歳の頃だったと思う。

    初めて就職した会社をクビになり、
    大阪にあるTRIPというアパレルメーカー
    で働き始めたところだった。

    当時カタログを製作してくれていた
    CINQの山田さんが
    新しいカメラマンとして連れてきてくれたのが
    新田さんだった。

    初めての撮影の日、
    公園の前を横切り大きな荷物を抱えて
    お店に来たのを覚えている。
    新田さんがストロボを使って
    撮影した一枚の写真を今でも覚えていて、
    初めて何かのプロの仕事に触れたように思う。

    それから年に数回、顔を合わせるようになった。
    撮影終わりに山田さんと新田さんに
    飲みに連れていってもらえることが嬉しかった。

    ファッション雑誌やカタログの撮影をしている
    2人と知り合えたことが、
    田舎から出てきたぼくには少しの優越感と自慢だった。

    30歳を機に勤めていた会社を退社した。
    自分も小さくても自分の山に登りたいと思った。

    和歌山に帰ってきて、
    コンビニで見慣れた雑誌を広げ、
    内容より写真「Kimihiko Nitta」の文字を探すのが
    ぼくの楽しみになっていた。

    しばらくして、見慣れた雑誌から
    「Kimihiko Nitta」の文字をあまり見なくなった。

    東京に行ったことは知っていた。

    今から4.5年前だったと思う。
    今回の文章を書いている藤本さんのインスタグラムに、
    東京でメジャー紙の表紙に
    辿り着いたフォトグラファー。との記載があった。

    新田さんは、ぼくが立ち読みしていた雑誌の隣にある、
    全国のファッション雑誌の表紙を
    撮影するようになっていた。

    いつの日か描いた夢といつの日か叶えたい未来に
    自分も重ね合わせて泣きそうになった。

    「プールサイド」は藤本さんの日記と新田さんの写真が
    織り交ぜられた交換日記になっている。

    藤本さんの日記は中年のおっさんの悩み苦しみながら、
    仕事、仲間、家族と過ごす日々が綴られている。

    きっと新田さんも同じように
    悩み苦しみながら生きているのだと思った。

    「プールサイド」は今を生きる人への応援歌だと思う。

    読み始めた時に、
    となりではしゃいでいた娘も読み終える頃には
    妻と一緒に寝ていた。
    なぜか早くに亡くした父親が出てきて、
    口癖だった、やりきったれ。
    の言葉がぐるぐると頭を巡った。

    そっけなく、おん。わかってる。
    と心の中で答えて本を読み終えた。






    「poolside books」
    初のリリースとなる『プールサイド』は、
    2022年4月〜11月までの7カ月間にわたり行われた
    交換日記が元になっています。

    東京在住のフォトグラファー・新田君彦と、
    大阪が拠点の編集者・藤本和剛による
    写真/文章が交互に並ぶ構成。

    それぞれの家族と向き合いながら、
    雑誌業界の一線で働き続けるふたりの息遣いに、
    気づけば同期しているような
    読書体験になればと考えています。

    誌名:『 プールサイド 』
    著者:文 = 藤本和剛 写真 = 新田君彦
    ブックデザイン: 仲村健太郎 ( Studio Kentaro Nakamura )
    発行所:poolside books / プールサイドブックス
    発売日:2023 年 6 月 19 日(月)
    仕様:本文 184P /フルカラー / B6 変型
    価格:1,760 円 ( 本体価格 1,600 円+税 )








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